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アイヌのシャーマン、“トゥスクル”

人々を助けるトゥスクルの能力

トゥスクルによるシャーマニズム的な儀式はトゥスと呼ばれ、トゥスクルはこの儀式によって占いや魔術、医療行為を行使することで、人々を癒し、導いてきました。
人々は近しい存在の者に不幸があったり、不吉な兆候を感じたりすると、トゥスクルを頼ります。そんなときに、トゥスクルはその能力によって原因を探り、予防策や解決法を占いました。また、だれかが病気になったときには、薬草を用いたり、手をかざしたりすることで、治療することもありました。
女性が妊娠した際には祈りを捧げ、神事として扱われた出産の折には、イコインカルと呼ばれる、透視や霊視などを取り入れた助産術を駆使し、助産婦としての役目も果たしたといわれています。

トゥスクルの口寄せと呪術

カムイの言葉を聞き、それを自身の身体を通すことで発信する、口寄せの能力をもったトゥスクルは、あらゆる祭りごとや儀式を司り、物事の吉凶を占うことで、アイヌの人々の精神的支柱のような役目を果たしていました。
また、トゥスクルが自らに憑かせることができる存在はカムイだけにとどまらず、イタコなどと同じように、死者を憑かせることもできたとされています。トゥスクルはその能力によって様々なカムイや霊魂と関わり、人々を導いています。
占いや口寄せ以外にも、トゥスクルは呪いを操ることもできました。しかし、文字による記録文化のないアイヌの中で、トゥスクルの呪術についてもまた、例外なく口承で語り継がれてきました。その呪いについては、限られたトゥスクルの間以外では口にすることすら禁じられているため、未だ謎に包まれています。


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